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神戸を照らす鎮魂の光『神戸ルミナリエ』点灯の瞬間【2018年】

兵庫三菱Web編集局|記事:M.Saito/A.Sato/A.Yamamoto/N.Nagasaka
配信日:2018年12月9日 18時00分 JST / 更新日:2018年12月17日 16時00分 JST

※2018年の開催は終了しました。

神戸の冬の夜を照らす幻想的な光の芸術「神戸ルミナリエ」。

今年2018年もついにその時期がやってきました。まずは点灯の瞬間をご覧ください!

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場所:旧外国人居留地/三井住友銀行神戸営業部前広場

毎年続く「神戸ルミナリエ」

◆阪神淡路の犠牲者に贈る慰霊の光「神戸ルミナリエ」

1995年1月17日に、阪神・淡路地域を襲った大地震で、まちは大きな悲しみに包まれました。その被災した神戸に大きな感動と勇気、希望を与え続けているのが、毎年12月に開催される神戸ルミナリエです。最近では神戸の観光スポットの1つになっていますが、犠牲者の心を忘れないために鎮魂の意が込められており、震災の記憶を語り継ぎ、訪れる人を暖かく包み込んでくれます。

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場所:東遊園地内

◆今年2018年で「神戸ルミナリエ」は24回目

第1回目の神戸ルミナリエは、年始の震災の影響が未だ色濃く残る1995年の12月に開催されました。イタリアからやってきた幻想的な光の彫刻芸術が、神戸のまちと市民に大きな感動と勇気、希望を与えました。第1回神戸ルミナリエ終了後から継続を求める強い声が寄せられ、今もなお途切れることなく続いています。 震災から23年がたち、震災を知らない世代の子ども達も増えてきました。この記事を読んで、阪神・淡路大震災を風化させないためにも、「神戸ルミナリエがどういう目的で行われているのか」を見つめ直すきっかけになればいいなと思っています。

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場所:東遊園地前の道路

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場所:東遊園地内/噴水

点灯式では神戸の子どもたちの歌が響く

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毎年、神戸ルミナリエ開催期間の初日に、点灯15分前ごろから点灯式が始まります。今年2018年も、親子、地元住民、カップルや他府県から観に来た人など、大勢の人が会場である旧外国人居留地に集まっていました。

そしてこの点灯式では毎年、神戸市立高羽小学校の140名の子どもたちが「しあわせ運べるように合唱団」として歌声を披露しています。

◆神戸市民の馴染みの歌「しあわせ運べるように」

神戸ルミナリエの点灯式と消灯式で流れる、「しあわせ運べるように」という歌をご存知でしょうか? 子ども時代を神戸で過ごした方であれば、音楽の授業で歌われた方もいるのではないでしょうか?また、手話をしながら歌われた人もいると思います。 私(山本)も、小学生の時に全力で手話での表現をしながら歌っていたのが懐かしいです笑

「しあわせ運べるように合唱団」の子どもたちがハモりながら、のびやかに歌って、手話もしっかりとやっていて、この日のために毎日いっぱい練習したんだろうな、と想像しただけで涙腺が大変なことになりました。

◆阪神・淡路大震災から生まれた歌

点灯式で歌われる「しあわせ運べるように」という歌は、震災当時、臼井真先生という音楽の先生が「避難所生活をしている人々を元気づけたい」という気持ちで作曲を始め、避難所になっていた神戸市立吾妻小学校の校庭で200人の子どもたちがピアノを取り囲むようにして集まり、そして避難住民やボランティアの方々も一緒にこの歌を合唱したそうです。

またこの曲には、神戸の子どもたちに、人の痛みが分かる子、目に見えない美しさがわかる子になってほしいと願いも込められているそうです。

<しあわせ運べるように>

作詞・作曲 臼井真

1.地震にも 負けない 強い心をもって 亡くなった方々のぶんも 毎日を大切に生きてゆこう 傷ついた神戸を もとの姿にもどそう 支え合う心と明日への希望を胸に 響きわたれ ぼくたちの歌 生まれ変わる神戸のまちに 届けたい わたしたちの歌 しあわせ運べるように

歌詞からは、亡くなった方々への想いや、神戸の復興への想いがひしひしと伝わってきます。中でも、

「亡くなった方々のぶんも毎日を大切に生きてゆこう」

という歌詞が小学生の時の私には、ずしんと響いていたのが強く印象に残っていて、今でも目がうるっとしてしまいます。

◆歌声が阪神・淡路大震災の思いを蘇らせる

こうして震災から生まれた「しあわせ運べるように」という歌は、神戸市の小学校で今でも歌われ続けています。また、神戸ルミナリエの点灯式だけではなく、1月17日に東遊園地で行われる追悼式典、成人式でも歌われているように、神戸に根付く歌なのです。

手話とともに合唱する子どもたちの歌声に会場では涙されている方もおり、震災で失ったもの、震災を生き延びた人々、復興した神戸の街、その街で健やかに成長した子どもたち...など、胸が熱くなるような想いを、人それぞれ感じられたのだと思います。

2018年12月7日の点灯式当日、「しあわせ運べるように合唱団」の指揮をしていた臼井先生は「この曲を歌う子どもたちへしあわせが訪れるように、そしてその歌声を聞いた人々にしあわせが運ばれるように想いを込めています」と、話していました。

阪神・淡路大震災という重い歴史があって生まれた神戸ルミナリエ。ルミナリエの起源ともなる「震災の犠牲者を想う人々の心」が、現代もこの「しあわせ運べるように」という歌声にのせて受け継がれているのだと感じられた点灯式でした。

ルミナリエ継続のための募金活動

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◆資金難を支える多くの募金

震災の犠牲者への想いから生まれた歴史あるルミナリエですが、毎年悩まされるのが「開催資金」の問題です。

昨年2017年(第23回)の支出額は約5億円で、ルミナリエの制作費や警備費、運営費が大きな支出となっています。収入は主に、企業の協賛金、県や市からの補助金、募金などから得ていますが、黒字の年もあれば赤字の年もあり、ルミナリエにとって資金集めは大きな問題となっています。

このような資金難である状況ですが昨年2017年は、会場での募金も含め合計で約5000万円の個人募金が集まり、199社もの企業が出資しました。こうして今年2018年も開催することができているのは、市民、観光客、ボランティア、企業といった「ルミナリエを続けてほしい」という熱い思いを持った多くの人々に支えられているからなのです。

◆ルミナリエ継続の思いが生んだユニークな工夫!「カラクリ募金箱」

当日も大勢のボランティアの学生が募金箱をもって募金を呼び掛けていました。

その中に、他の白い募金箱とは異なる、光る募金箱を持つ学生がいました。 近づいてよく見てみると、募金すると神戸ポートタワーや神戸港のオブジェが光る仕組みや、ビー玉が螺旋階段を転がる募金箱などカラクリ募金箱がありました。

山本:
「この募金箱は神戸大学の学生の方々が作ったものですか?」

ボランティアの学生さん:
「はい。大学で学んだセンサーや発光ダイオードの技術を活かして制作しました。募金箱には他にも種類があって、毎日違う募金箱を持って募金を呼びかけています。」

募金をしてくれた人に、面白い仕掛けで楽しんでほしいという思いで作成されたアイデアあふれるユニークな募金箱。募金をすると、「ありがとうございます!」と元気いっぱいの笑顔を返してくれました。

当日の最低気温は12℃。神戸ルミナリエの51万個のあたたかい光と裏腹に、冷たい風に「ルミナリエの光キレイ...でも、寒い...」と取材に来ていたメンバーと言いあっていたのに、そのユニークなアイデアと学生さんのパワフルな笑顔に全員自然と心もあたたまりました。

◆その他でも工夫される「嬉しい」募金

このようなユニークな募金箱の他にも、様々な形で募金を楽しんでもらう工夫がされていました。

例えば、「KOBEルミナリエトリプルマッチ」という宝くじが会場内で販売されており、販売収益金の一部が開催経費に当てられます。1等の当選金額は30万円(本数は175本)で、価格は1枚200円となっています。

また、神戸ルミナリエのグッズ販売も行っており、ピンバッジやカレンダー、トートバッグ、マグカップやCDまで幅広く取り揃えています。もちろん売上の一部は開催費用に当てられています。

その他、募金すると新聞に名前を掲載してもらえる「1000円募金」やふるさと納税などもあり、来年もルミナリエを開催したいという人々の熱い思いは、寄付した人も喜んでもらえるようなユニークな工夫を生んでいました。

受け継がれる鎮魂の思い「神戸ルミナリエ」

神戸で続く12月恒例の巨大イルミネーション「神戸ルミナリエ」。クリスマスシーズンにあるイルミネーションを彷彿させるかもしれませんが、その背景には阪神・淡路大震災の犠牲者への鎮魂の思いが根底にあり、その思いを復興後の現代でも受け継ぐため、点灯式には黙祷を捧げ「しあわせ運べるように」が歌い継がれるのです。

また開催期間中は、地元の飲食店や企業によるおいしい屋台のごはんで会場はお祭りのような雰囲気がありますが、一方でそれは、被災当時のお店が現代ではここまで復興したのだという証でもあります。

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阪神淡路大震災で奪われたすべての命と、生かされた人々の思いが凝縮されている「希望の灯」の碑文に、

この灯りは 奪われた すべてのいのちと 生き残った わたしたちの思いを むすびつなぐ

という文があります。震災を経験していない子どもたちにも、神戸ルミナリエを通して、震災の思いむすびつなぎ続けてほしいと思います。

開催期間の最後の時間には消灯式が行われ、「しあわせ運べるように」の歌を響きわたらせます。来年も神戸ルミナリエが続くように、今年2018年も多くの方々に来場していただきたいと思っています。

神戸ルミナリエ
開催場所:
旧外国人居留地および東遊園地
開催日時:
※2018年の神戸ルミナリエは終了しました。
2018年12月7日~16日
月~木:18:00 ~ 21:30
金:18:00 ~ 22:00
土:17:00 ~ 22:00
日:17:00 ~ 21:30
公式HP:
KOBEルミナリエ2018
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