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【実証実験】キャンプマグ 保冷・保温力最強は? YETI/スタンレー/サーモス

兵庫三菱/姫路三菱ウェブ編集局
記事 : N.Nagasaka | 企画協力 : 株式会社六角形
配信日 : 2020年8月17日 9時00分 JST

こんにちは。今回の記事は、「断熱マグカップ徹底比較」です。
キャンプで必須のドリンクウェアですが、保冷・保温をしてくれる真空断熱(ダブルウォール)のマグカップは安い買い物ではなく、種類も多くて迷っちゃいますよね。今回は、そんな方に参考にしていただける徹底比較記事です!

以前、真空断熱に限らず、プラスチックコップから水筒まであらゆる物の保冷&保温力を検証しましたが、検証の条件が甘かったことや、ジャンルが混ざりすぎていました。今回はそれらを改善し、キャンプ用真空断熱マグカップのみの比較検証をしていきます!

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1. 比較する7種類の真空断熱マグカップたち

まずはさっそく、比較する7種類の真空断熱マグカップをご紹介していきます。

1. STANLEY(スタンレー) クラシック真空マグ 0.35L

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  • 3,850円 (税込)
  • サイズ:幅9.9×奥行12×高10.8cm
  • 容量:354ml
  • 重量:286g
  • カラー:2種類
  • 保冷効力: 10度以下/3時間(公式HPより)
  • 保温効力: 60度以上/1.5時間(公式HPより)

蓋が付属。飲み口があるため密閉はできません。

2. STANLEY(スタンレー) 真空マグ 0.23L

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  • 3,050円 (税込)
  • サイズ:高さ150×本体径79mm
  • 容量:236ml
  • 重量:240g
  • カラー:4種類
  • 保冷効力: 10度以下/4時間(公式HPより)
  • 保温効力: 60度以上/2時間(公式HPより)

分解できる蓋が付属。上蓋を開けると飲み口があります。取手には指が3本入ります。

3. STANLEY(スタンレー) 新ロゴ GOシリーズ 真空タンブラー 0.47L

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  • 3,850円 (税込)
  • サイズ:幅9.1×奥行8.6×高さ16cm
  • 容量:473ml
  • 重量:270g
  • カラー:4種類
  • 保冷効力: 6度以下/6時間(公式HPより)
  • 保温効力:62度以上/6時間(公式HPより)

『STANLEY(スタンレー) 』は、1913年にウィリアム・スタンレーJr.によって創立されたアメリカの老舗ブランドです。真空スチールボトルを中心に、アウトドア商品を展開しています。STANLEY(スタンレー)のブランドを保有する会社「PMI」は、原材料から製造方法まであらゆる面で環境や健康に配慮しています。PMIは初めて「原材料にリサイクルプラスチックを用いた、リサイクルできる食品容器」を作った会社。サステナビリティを追求しているブランドといえます。

4. Thermos(サーモス) JDG-350C 真空断熱マグカップ

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  • 1,958円 (税込)
  • サイズ:幅8×奥行11×高10
  • 容量:350ml
  • 重量:200g
  • カラー:3種類
  • 保冷効力(1時間):8℃以下(公式HPより)
  • 保温効力(1時間):67℃以上(公式HPより)

飲み口のない蓋がついています。載せるだけで、固定することはできません。

5. Thermos(サーモス) 真空断熱カップ JDH-360 ステンレス

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  • 1,078円 (税込)
  • サイズ:幅8×奥行8×高9.5
  • 容量:360ml
  • 重量:200g
  • カラー:1種類(280mlモデルは4種)
  • 保冷効力(1時間):8℃以下(公式HPより)
  • 保温効力:HPに記載なし

今回使う中で唯一蓋のついていない製品です。蓋付きとどれだけの差が出るのかに注目です!

キャンプギアあるあるの「実は日本の会社」!『Thermos(サーモス)』もそのひとつ。人生で少なくとも一度はThermos(サーモス)製品を使ったことがあるのでは??実は、なんと世界初のステンレス製真空断熱魔法瓶を開発したのはこの会社なんです。価格もリーズナブル。他社のアウトドア堅牢性重視のマグカップより壁が薄くコンパクトです。

6. YETI(イエティ) ランブラー10oz ローボウル

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  • 3,520円(税込)
  • サイズ:H10.48cm×φ8.89cm
  • 容量:419ml
  • 重量:270g
  • カラー:11種類
  • ダブルウォール

※別売でハンドルあり
蓋が付属。飲み口があるため密閉はできません。

7. YETI (イエティ) ランブラー 14oz マグ 414ml ステンレススチール マグカップ

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  • 4,180円(税込)
  • サイズ:H9.53cm×φ10.16cm(持手を含めた幅12.7cm)
  • 容量:529ml
  • 重量:368.5g
  • カラー:7種
  • ダブルウォール

蓋が付属。飲み口があるため密閉はできません。

『YETI』(イエティ)は、アメリカはテキサス州のアウトドアメーカー。創立者のRoy SeidersとRyan Seiders兄弟が、釣りを始めとしたアウトドアにおいて、保冷力・耐久性で最強のクーラーBOXを作ろうとしたのが始まりです。特に耐久性には目を見張るものがあり、「YETI vs. グリズリー」というCMもあるほど。マグカップを手にしてみても、「スキがない」感じで、耐久性に関しては並の製品とは一線を画した信頼感があります。

以上7種類を価格順に並べると、以下のようになります。

  • 「YETI 14oz」:¥4,180
  • 「STANLEY 0.35L」:¥3,850
  • 「STANLEY 0.47L」:¥3,850
  • 「YETI 10oz」:¥3,520
  • 「STANLEY 0.23L」:¥3,050
  • 「Thermos JDG-350C」:¥1,958
  • 「Thermos JDH-360」:¥1,078

2. 検証方法

今回の検証は、以下の条件と方法で行います。

  • エアコンで室温25℃付近に固定した室内で検証。
  • 机の上にマグカップを並べ、デジタルキッチン温度計を挿入。
  • 保冷力検証では150mlの冷水、保温力検証では熱湯を注ぐ。
  • 蓋付きのものは蓋を付けた状態で行う。密閉する蓋は、温度計が入るだけズラして載せる。
  • カメラを30分ごとに撮影するようにセット。120分間連続撮影する。
  • 写真から温度計の表示を読み取り、検証結果とする。

冷水・温湯を入れる順番や、温度計の個体差等によって誤差が生じることをご了承ください。 まず保冷力検証を行い、翌日に保温力検証を行いました。検証の様子はこんな感じ。

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3.保冷力の結果発表(12~13℃の冷水で実験)

では早速、結果を見ていきましょう!

検証結果を整理する

30分ごとに撮影した写真から、それぞれの真空断熱マグカップに挿した温度計が示す温度を読み取りました。冷水を入れたばかりの開始時のそれぞれの水温は12.0~13.1℃の間。そこから徐々に水温が上がって行きました。120分後の測定終了時には、最低15.6℃~最高19.5℃となり、製品によって保冷力の差ががあることがわかります。以上の結果をまとめた表を貼っておきます。()内の色は、製品の色を表しています。

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STANLEY(スタンレー)製品が保冷力上位2つを占める

以上の結果を元に、保冷力の高さを調べます。今回は、測定開始時と終了時の温度差が小さいほど、保冷力が高いと見なすこととします。
開始時と終了時の温度差が小さい順に製品を並べると、以下の通りになりました。

第1位 温度差3.6℃:STANLEY 0.23L(銀)
第2位 4.3℃:STANLEY 0.47L(赤)
第3位 4.9℃:Thermos JDG-350C(黒)
第4位 5.0℃:YETI 10oz(銀)
第5位 6.0℃:STANLEY 0.35L(黒)
第6位 6.2℃:Thermos JDH-360(銀)
第7位 6.4℃:YETI 14oz(白)

STANLEY(スタンレー)製品が上位2つを占めています。また、Thermos JDG-350Cは、YETI(イエティ)やSTANLEY(スタンレー)製品よりかなり安いにもかかわらず、3位という好成績を収めています。そして気になるのが、今回の比較対象の中で最も高価なYETI 14ozが最下位の第7位となっている点です。第6位のThermos JDH-360は蓋なしですが、それよりも保冷力が劣っているということになってしまいます。使っている体感ではそんなことはないはずなのですが...。今回、注いだ冷水の温度が12℃ほどだったので、近日中に氷水での実験も行うことにいたします。

4.保温力の結果発表(75~79℃の温湯で実験

検証結果の整理

保温力も、保冷力同様に撮影した写真から温度計の温度を読み取り、整理して行きます。
測定開始時には、それぞれ製品内の水温は75.2℃~79.5℃の間に固まっていました。120分の測定終了時には、30.1℃〜44.3℃と大きく開いています。保冷力以上に、各製品の性能差がわかりやすく出ました。

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安定感を見せるSTANLEY(スタンレー)、食い込むYETI(イエティ)

保冷力と同様に、検証開始時の温度と終了時の温度の差が小さかった順に並べると、以下のランキングになりました。

第1位 温度差30.1℃:STANLEY 0.23L(銀)
第2位 32.8℃:YETI 10oz(銀)
第3位 33.1℃:STANLEY 0.47L(赤)
第4位 34.0℃:YETI 14oz(白)
第5位 36.2℃:STANLEY 0.35L(黒)
第6位 37.8℃:Thermos JDG-350C(黒)
第7位 44.3℃:Thermos JDH-360(銀)

STANLEY(スタンレー) 0.23Lが保冷力に続いてまたもや一位という結果になりました。また、注目すべきはYETI(イエティ)10ozが、第2位に食い込んでいること。そして、保冷力で最下位だったYETI(イエティ) 14ozも、第4位になっています。THERMOS(サーモス)の2製品は、第6位、7位という結果になりました。

5. 各製品の考察

最後に、結果からそれぞれのギアに対して考えたことを書いて締めます。

安定したパフォーマンスのSTANLEY(スタンレー)

総合的にみると、STANLEY(スタンレー) の製品、中でも「0.23L」は非常に好成績を収めています。次いで「0.47L」も好成績。これらの製品は、今回比べた中では、値段と性能のバランスが最もよくとれている印象です。ただ、「0.35L」に関しては、王道のマグカップの形をしていながら、保冷力・保温力共に第5位と、性能は特筆するほどではないようです。

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コスパ重視ならTHERMOS(サーモス)

そして、THERMOS(サーモス)の性能には驚かされました。保冷力では、今回2番目に価格の安いThermos JDG-350Cが第3位となりました。蓋に飲み口がなく固定もできない点は玉にキズですが、他社と比べて安く、圧倒的にコンパクトで軽いため、非常に良い製品です!
また、蓋のないタイプのThermos JDH-360は、振るわない結果となりました。前回、全てのマグカップの蓋を外した状態での検証では群を抜いた強さを見せていましたが、やはり蓋が保冷・保温に与える影響は絶大なようです。マグカップ選びにおいて、蓋がついていることは重要な条件になりそうです。

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タフネスとデザイン性のYETI(イエティ)

YETI(イエティ)の2製品に関しては、考察が難しい結果となりました。特に保冷力ではあまり良い結果ではなかったので、後述しますが実験の仕方が悪かった可能性があります。(9月 追加記事配信予定。)しかし、YETI(イエティ)製品の魅力は堅牢性やデザイン性まで追求しているところ。これらの魅力と、高めの値段とのバランスをどう見るかは、選ぶ人の価値観によるでしょう。ただし頑丈な分、重量にはご注意を!

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今回の実証実験で浮かび上がった疑問

以上、「7種の真空断熱マグカップ徹底比較検証」でした!今回は以前の検証よりも精度を上げて行うことができました。ただ、一点疑問が出てきました。保温・保冷力に関しての実験精度、特に水の温度に問題があったのではないか?というものです。冷水に関しては厚生労働省が定める温度の定義は10℃以下。今回の実験では12~13℃の水でしたので、厳密には冷水ではありませんでした。この点で改善が必要と感じました。また、実際にいつも使用している体感では保冷能力が抜群であるYETI(14oz)が今回の実験では最下位の結果に終わったことも、心から納得できない部分であります。もしかしたらYETIの保冷能力は10℃以下の本来の冷水でこそ発揮されるのではないのか?という疑問を解消すべく、次回、追加実験をする予定です。(9月中に追加記事配信予定)

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