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街レポ#5 『放香堂』元町商店街に広がるお茶の芳ばしい香り【神戸/元町】

兵庫三菱Web編集局┃記事:A.Yamamoto
配信日:2019年2月4日13時00分 JST

元町商店街を散策していると、芳ばしいお茶の香りがしてきます。ん~いいにおい...と、その香りに誘われて
元町商店街を西へ西へ香りの元をたどっていきますと、『放香堂』という、お茶の販売店がありました。
今回は私、ヤマモトが150年以上も元町3丁目で営業されている老舗の『放香堂』についてご紹介します!

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放香堂の香りについて

元町商店街中に香っていたのは、お茶を専用の機械で焙煎したほうじ茶の甘く芳ばしい香りでした。

2019年からおよそ180年前の天保年間に、放香堂の祖である初代東源兵衛が、宇治茶の主産地である山城にある自農園のお茶を江戸へ送り出したことから始まります。 その送り出したお茶の香りの良さが評判を呼び、1858年に松平家の御茶御用に任命されることとなりました。その際、放香堂の屋号はその当時の松平家より拝領したもので、「いつまでもその香りを放ちつづけるように」 という想いが込められています。

土・日・祝日限定で、店頭でお茶の焙煎をしていて、お茶屋さんならではの演出で、元町商店街に訪れる人々を魅了しています。

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日本に13人しかいない茶師十段をもつ茶師が仕上げる『放香堂』のお茶

『放香堂』では、訪れた方々へお茶を振る舞っていらっしゃって、「どうぞ~」とお茶の試飲をすすめてくださいます。

私がこの時試飲したのは、茶師六代目東源兵衛が手掛けたこだわりの源兵衛シリーズの1つ、「千寿吉祥」という煎茶です。 急須で入れたあたたかいお茶は、苦味も少なく、まろやかなお味で、おいしかったです◎

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茶師とは「茶を創る」職人のことで、茶葉を審査、判別し、茶葉の個性を活かしながらブレンドすることで、表現したい茶の味を生み出す匠のことです。茶師の最高段位である十段を持っているのは2018年時点ではたったの13人で、そのうちのお1人が、『放香堂』の六代目茶師 東源兵衛を受け継いだ酢田恭行さんです。

『放香堂』と神戸の歴史深いつながり

現在、お茶だけでなく、喫茶店では珈琲も扱う『放香堂』ですが
神戸に販売店の本店をおくのには、神戸港が大きく関係しています。

関西でお茶といえば、京都を思い浮かべる方が多いと思いますが、京都のお茶を広く知ってもらうためには、貿易が盛んな神戸港の存在が欠かせませんでした。なので、神戸港開港時に、元町商店街より南にある神戸栄町の方に放香堂の前身である輸出商館を設け、1874年に現住所の元町3丁目に宇治茶の小売店舗『放香堂』を開店し、今に至ります。

日本最古の珈琲店

輸出する際は、茶壷にお茶を入れていくのですが、帰ってくるときには空いたその茶壷にインド産の珈琲豆を入れて持って帰り、石臼でごりごりと豆を挽いて提供したそうです。

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実は、この茶壷に珈琲豆を輸入して、提供した放香堂が日本最古の珈琲店なんです!
そして、「日本のお茶文化を海外へ、海外の珈琲文化を日本へ広めた」重要な商店の1つでもあります

抹茶専用の石臼で珈琲豆を挽こうとしていたのですが、上下の石の重さのバランスがうまくいかないなど簡単にはいかず、試行錯誤の末、珈琲豆専用の石臼が完成し、石臼挽きを実現することに成功したのです。

郵便ポストの謎

『放香堂』の店内右側に、なぜか丸形のポストが店内に置いてあります。
「なぜ、お茶屋さんにポスト?」?と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

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お茶屋さんとは関係が無さそうに見えますし、
お店の方に聞くと、『放香堂』では宇治茶や、珈琲の提供をする傍らで、郵便物なども扱っていたという歴史があり、 明治の頃の放香堂を描いた風景にヒントがあります。

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(参照: 放香堂facebook)

この絵の左端にポストがあります。ちなみに、ポストは飾りなので実際に投函はできませんが、『放香堂』の歴史を再現して、明治時代を感じられるように飾られています。

新しいお茶への挑戦

最近は、日本のお茶の魅力が海外の方から注目されているブームがあり、店内ではお茶のいれ方の説明を中国語や英語等で書かれた資料が用意されていて、お茶のいれ方を知ることができます!
海外のご友人が神戸に来られた際は、ぜひ『放香堂』でお茶をたのしむのもいいですよ!

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お茶市場の拡大により、外国の方にも好んで飲んでいただくためにも、自分の好みに合ったお茶を選べるように、茶葉の焙煎の仕方や茶葉そのものが多種多様につくられ、茶師によって選定やブレンドがされています。
『放香堂』では、茶畑の段階からこだわっていて、昔からのお茶の味を引継ぎながらも、新しいお茶への挑戦をし続けているようです。

新商品の発酵茶

『放香堂』では日本で珍しく、国内であまり生産されていない「発酵茶」もつくっているそうです。

お茶の原料は同じ茶ですが、発酵させずにそのままお茶にするのか、茶葉を発酵させるかどうかという加工方法によって緑茶やウーロン茶、紅茶などに変化します。発酵ときくと、微生物や菌を使って食品を加工するものというイメージがありますが、お茶の発酵はお茶本来がもつ酵素や栄養素と酸素が結びついた結果起こる変化を指します。

日本でなじみ深い緑茶は、摘み取った茶葉の鮮度を保つためにできるだけ新鮮なうちに蒸す・炒る・煮るなど熱を加えて茶葉本来のはたらきを活かして発酵させずにお茶にします。

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今回私が買った発酵茶の「ときわすれ」は残り1袋になる程かなり人気で、紅茶に近い香りでした。 実際に家でのんでみると、フルーティで芳醇な香りがして、 ケーキにも合いそうな味わいでした◎

摘み取った茶葉を、天日干ししているらしく、茶葉の状態などを見ながらの管理が必要なため、手間ひまかけたお茶なんだそうです。

急須で入れたお茶を体感する

今回、お茶屋さんに入るのに少し緊張していたのですが、試飲を積極的にすすめてくださっていたり、店員さんも優しい方々で、誰でも入りやすいように敷居が低いお茶屋さんで、多くの人が、急須で入れたお茶を嗜むことができるようになっていました◎

実際にお茶をのむことができますし、茶葉のサンプルが置いてあって、気になったお茶の香りを確かめてから購入することもできます。 なので、ぜひ店頭で手に取って購入されるのがおすすめです!

放香堂
場所
〒650-0022 兵庫県神戸市中央区元町通3丁目10-6
公式HP
放香堂HP
Facebook
放香堂Facebook

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