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『ZEV規制』とは? 〜世界からガソリン車が消える日〜

兵庫三菱Web編集局 | 記事 : M.Saito
更新 : 2018年6月30日 / 配信日 : 2017年7月28日 08時00分 JST

  1. ZEVとは?
  2. ZEV規制とは
  3. ZEV規制の特徴「クレジット」について
  4. ZEV規制は2018年からさらに強化
  5. 【2016年 国別】 ZEV販売台数 日本は世界で7位
  6. 各国のZEV対応状況

1. ZEVとは?

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 ZEVとは「Zero Emission Vehicle」のことで、排出ガスを一切出さない自動車のことを指します。排出ガスがゼロの車は「電気自動車(EV)」と、水素を燃料とする「燃料電池車(FCV)」があります。国産車では、EVとして日産「リーフ」や三菱「i-MiEV」、FCVとしてトヨタ「MIRAI」やホンダ「CLARITY FUEL CELL」が挙げられます。

2. ZEV規制とは

 『ZEV規制』とは、米国カリフォルニア州大気資源局(CARB:California Air Resources Board)が施行している制度で、州内で一定台数以上自動車を販売するメーカーに対し、ZEVを一定比率(14% : 2017年現在)以上販売することを義務付ける制度です。つまり、同州で一ヶ月に100,000台を販売するA社があるとすれば、ZEVを14,000台販売しなければ罰金を課せられるというものです。

 アメリカでは、国全体で見れば比較的緩やかな規制を採用していますが、カルフォルニア州のZEV規制は世界的に見ても極めて厳しい規制です。この背景は、カリフォルニア州はアメリカのなかでも自動車の利用率が高く、地形的な特徴も合わさり大気汚染は深刻です。そのため州独自で政府よりも厳しい排気ガス規制を敷いて大気汚染の問題を解決しようとしています。ZEV規制は1990年代から存在し、これまでに何度も改正が重ねられてきました。厳しい規制ではありますがこの規制が存在することで、各メーカーは次世代自動車開発を活性化することになります。

3. ZEV規制の特徴「クレジット」について

 この規制の特徴として、ZEVの販売台数が一定比率を上回った場合「クレジット(CO2削減量/実績係数)」が得られるという制度があります。反対に、下回った場合はCARBに罰金を支払うか、クレジットを多く保有する他メーカーからクレジットを購入しなければなりません。

 こうしたクレジット売買の制度を利用し、EVメーカーのテスラモーターズは2013年上半期だけで約140億円のクレジット売却利益を上げたと公表しています。クレジットが足りない場合にCARBへ支払う罰金は1クレジット当たり5,000ドルで、2社間でクレジットを売買するときの取引価格は第3者には分からないようになっていますので、他メーカーから購入する場合は、罰金よりもディスカウントされた価格で取引されていることが予想されます。

 ただ、このクレジット制度により利益を得ているはずのテスラモーターズのイーロン・マスクCEOは、この制度があるせいでメーカーは電気自動車の開発や生産に力を入れなくても済んでしまうと嘆き、現状を危惧しています。同氏はZEV生産台数の最低基準を引き上げるべきと主張し、カリフォルニア州大気資源局(CARB)も、その意向に同調する形でZEV規制の修正を計画しているとのことです。

4. ZEV規制は2018年からさらに厳格に

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規制対象メーカーに新しく6社が追加

 2017年現在では、カリフォルニア州で年6万台以上販売するメーカー「日産」「トヨタ」「ホンダ」「クライスラー」「フォード」「ゼネラルモーターズ」の6社がZEV規制の対象となっています。2018年からは規制がさらに強化され新たな段階に入ります。 規制の対象となるメーカーが現行の6社から「BMW」「ダイムラー」「現代」「起亜」「マツダ」「フォルクスワーゲン」を加えた12社へ拡大。これまでカリフォルニア州での年間販売台数が6万台以上のメーカーが対象でしたが、これが2万台に引き下げられるため中規模自動車メーカーにまで対象が広がることになります。

マツダは規制強化をどう乗り越える?

 追加される6社について、BMW(ドイツ)、ダイムラー(ドイツ)、フォルクスワーゲン(ドイツ)、現代自動車(韓国)、起亜自動車(韓国)らは相次いでEV、PHEVのラインナップを市場に投入しています。しかし、マツダはEV、PHEVのラインナップを持たず、2019年にEV販売に本格参入することを明らかにしてはいますが、2018年以降、ZEV規制に対してどのような戦略を持って乗り切るのか注目です。(追記 : 2017年8月4日、トヨタ自動車とマツダは、規制強化に対応するため共同でEVを開発することを前提とした資本提携を発表)

zev_2018.jpg

ハイブリッドカーはZEVから除外

 そして、ZEV対象車についても大きな変更があります。現在ではCO2排出量が少ない「ハイブリッドカー」「天然ガス車」「低燃費ガソリン車」がZEV対象車として販売台数に含めることを認めていますが、2018年からはこれが対象から除外されることになります。そのため、ZEV対象車は「EV」「FCV」「PHEV」に限定されることになりました。日本で大人気のハイブリッドカーですがもはや新技術のエコカーとは認められなくなるということです。このため、対象各社はEV/PHEVの市場への投入必要が待ったなしの状況となっています。特にトヨタは、これまではハイブリッドカーの販売によってZEV規制に対応してきましたが、そのハイブリッドカーが対象から除外されるわけです。FCVもインフラの問題で普及が遅れていますので、2017年2月に新型プリウスPHVを大々的に販売開始したことが良い例で、トヨタも当面はEV/PHEV推進へと舵を取り直したようです。

規制比率が14% → 16% に

 また、現在14%と定められているZEV販売比率が16%に引き上げられます。ZEV規制の対象となる自動車メーカーとしては規制条件クリアのハードルがさらに上がることになります。

カリフォルニア州以外の11州でもZEV規制導入

 カリフォルニア州のZEV規制は他の州への広がりを見せています。現在ではアリゾナ、コネチカット、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューメキシコ、オレゴン、ニューヨーク、ロードアイランド、バーモントの11の州でも採用されています。

5. 【2016年 ZEV販売台数 国別】 日本は世界で7位

 国内販売台数を国別でみると、ZEV対象車(PHV、PHEV、EV)の2016年販売台数トップは中国で約35万台。大気汚染が深刻な問題となっている中国ではZEVの推進に躍起になっています。日本は世界で7番目の約22,000台。日産リーフ、三菱アウトランダーPHEVがそのうちの多くを占めています。また、下記データにはありませんが国別のZEV普及率になるとまた違ったデータとなり、オランダ・ノルウェーの2カ国は、政府の支援策効果が絶大で、ZEVの普及率が世界的に見ても突出して高くなっています。

販売台数(台) 世界全体に対する割合
1.中国 351,861 45.44%
2.アメリカ 158,455 20.46%
3.ノルウェー 45,662 5.90%
4.フランス 34,574 4.46%
5.ドイツ 27,404 3.53%
6.オランダ 23,114 2.98%
7.日本 22,375 2.89%
8.スウェーデン 13,615 1.76%
世界全体 774,384 -

※日本の国内販売台数に誤りがあり、「3位」と表記しておりましたが「7位」に訂正いたしました。

6. 各国のZEV対応状況

中国

 大気汚染が破滅的なレベルで問題になっている中国では中国版ZEV規制、NEV(New Energy Vehicle)規制が2018年から導入される予定です。対象となるメーカーは規制条件をクリアすることが求められ、NEVを売ることによって得られたクレジットを、クレジットが足りないメーカーに売ることができる「クレジット売買」がある点などはZEV規制と同様です。EV/PHEV普及のために中国は先進的で強力な取り組みを行っています。現在、世界一のEV/PHEV大国は中国です。中国は非常に大きなEV/PHEV市場となりますので、中国市場をどのように攻略するか、メーカー各社にとっては悩ましい問題となりそうです。(追記:2017年9月、中国政府はNEV規制の導入を1年延期し、2019年に導入するとしました)

欧州

 欧州を走る自動車の約半数はディーゼル車です。しかし、2015年のフォルクスワーゲン(以下、VW)のディーゼル車不正事件を契機に、VWは電動化に舵を取りなおし、メルセデス・ベンツ、BMWなど欧州の他メーカーも電動化に積極的に取り組む方針を打ち出し、EV/PHEVへの転換を進めています。

 国としても、ドイツでは2030年まで、フランスとイギリスは2040年までに国内でのガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する方針を決めました。また、オランダとノルウェーでは2025年までに排気ガスを排出するすべての車の販売を禁止する法案が進められています。そして、欧州外ですがインドでも2030年には国内で販売する自動車はEVのみへという政策を打ち出しています。(追記:2018年3月、インド政府は2030年までに国内で販売される自動車の"30%"をEVにすると目標を変更しました。)

日本

 日本ではEV・PHEVの普及目標(新車販売に占める割合を 20~30%に)を定め、EV/PHEV購入時には補助金拠出、充電インフラは大きく整備されてきました。今後は米国、欧州、中国と同様に、厳しい規制を設けて普及を促す可能性もゼロとは言い切れませんが、日本なりに着実に進んできているように思います。個人的には、日本メーカー各社にはより魅力的なEVの開発、PHEVの開発に力を入れて欲しいと思います。ガソリン車が減り、EVやPHEVが増えていくことはもはや間違いないのですから、販売価格を抑え、航続距離をより伸ばした魅力的なEVやPHEVが出ることで次世代自動車の普及はさらに加速すると感じます。


参考にした資料・データ

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